土地活用方法のひとつ、遺体ホテルについて解説しています。
近年、特に都心部で火葬待ちが問題となっていることをご存知ですか?火葬までの間、ご遺体を保管する「遺体ホテル」が、今注目を集めています。
東京都福祉保健局の調べでは、東京都内だけで年間11万人、1日あたり300人ほどが亡くなっている計算。
ですが、都内には火葬場がわずか26ヶ所しかありません。そんな過密な葬儀事情を踏まえて誕生したのが遺体ホテルです。
火葬の順番を待つ間に、ご遺体を一時的に安置する場所で、その需要は年々大きく高まっています。ホテルといっても、遺族が泊まれる施設は無いため、旅館業などの認可は原則不要。主に葬儀会社が運営を行います。
開業にあたり必ず必要なのは、ご遺体を保管する特別な装置がついた収容施設の設置。その他に葬儀を行えるスペース、そして家族の宿泊や団欒できる場などを併設しているところもあります。
ちなみに、一般的なシティホテルにかかる初期投資費用は450万と言われています。
厳密な収入ベースや利回り率にかんするデータは2017年時点で公表されておらず、詳細な情報は入手できませんでした。
ですので、施設の利用料から収入を割り出してみます。
ご遺体を1日安置した場合の利用料は、施設によって異なりますが、おおむね12,000円ほど。ホテルによっては僧侶が24時間常駐しており、その場で簡単な葬儀ができるケースもあります。
費用に関しては、ご遺体の搬送から安置・通夜・告別式・火葬に至る一連のお式を執り行った場合は45万円だとか。最小限のお見送りであれば20万円という所もあります。
保管所にある機器の管理、総議場の清掃、什器の購入や廃棄などは、スタッフや専門の業者に委託することになるでしょう。
そのほかに、ご遺族が宿泊するファミリールームがあれば、清掃スタッフなどを用意しておく必要があります。
また業務形態から遺体ホテルは、24時間の営業スタイルをとっていることがほとんどで、依頼を受けたときに迅速に対応できる施設やスタッフの教育も必要になってくるでしょう。
これらはほとんどすべてを運営会社が行います。
まず一番のメリットは、社会的な貢献。先述のとおり、高齢などによって旅立たれる方に対して、安らかに送り出す施設の数がとても足りていないという現状があります。
そんな中で、この遺体ホテルというビジネスは、年々その需要が増加している傾向にあり、火葬の順番を待っている遺族の受け皿としてしっかりと機能している存在であるといえるでしょう。
一番の問題は、火葬場と同じく周辺住民からの拒否感があることです。遺体ホテルは、建設に対する法的な規制はなく、法律上はどこにでも建てられます。
しかし、建物内にご遺体を安置することに、拒否感を覚える住民も多く、実際に遺体ホテルの建設予定地で、企業と周辺住民の衝突が起こった例もあります。
2013年には、東京・大田区に遺体ホテルを建設する際、反対派の住民が署名運動を展開。
15,000人ほどの署名を持って抗議した結果、区の条例に遺体ホテルを建てる際の条件として、「周辺環境に配慮することを前提に開設しなければならない」旨が追加されることになりました。
土地活用において王道とされている賃貸経営。それでは、これまで紹介してきた遺体ホテルと比較するとどのような違いがあるのでしょうか? 今回は大まかに3つのポイントで比べてみたいと思います。
ホテルという名称ではありますが、実際は遺体安置所。そのため、場合によっては葬儀を行える施設も必要になるかもしれません。
現状は、まだ生まれたばかりのビジネスであり、葬儀社が主導で各地に遺体ホテルを建設しています。近い将来、新しい不動産投資の形として、認識されるかもしれません。
火葬場の順番待ちでご遺体の保管だけ、ということであれば一泊あたり12,000円ほど。葬儀のグレードによっては20~40万円。もしくは1回あたり200万円ほどの葬儀をあげる方もいるようです。
賃貸経営のような安定した運営を望むのは難しいですが、団塊世代の高齢化が進むにつれて、需要の拡大が見込まれます。
更地と比較すれば建物が建っている時点で、固定資産税は圧縮されます。
現状は動き出したばかりのビジネスであり、開業するためには葬儀会社を立ち上げるか、遺体ホテルを作りたい企業に土地を貸し出すかの二通りの方法があります。
いずれにしても、近隣住民との密なコミュニケーションをして、しっかりと説明してようやく開業までこぎつけられるもの。
一方、賃貸経営であれば、近隣住民との争点に成り得るものが少なく、また、特に忌避感を生むものでもないので、スムーズに土地活用ができます。