土地活用方法のひとつ、太陽光発電について解説しています。
余っている土地の有効活用法として、近年注目を集めている、太陽光発電システムの設置について説明します。
土地活用に太陽光発電設備の設置を選んだ場合、全体にかかる費用は、そのほとんどが初期費用です。その内訳は、大まかに分けて「設備費用」と「設置費用」です。
設備費用として必要なのは、太陽光に当てて電力を発生させる「パネル」、電力の変換を行う「パワーコンディショナー」、パネルを載せる土台となる「架台」の費用です。土地にそのままパネルを設置する場合、住宅用ではなく、産業用のパネルを設置します。
その費用は出力1kW(キロワット)あたり12万円ほど。パワーコンデショナーや架台の費用も合わせると、1kWあたり21万円ほどが必要です。
また、土地によっては太陽光発電システムの発電効率を高めるために、整地が必要な場合があります。この工事費用が1kWあたり7万円程度と言われています。
では、実際にいくらくらい必要なのでしょうか。産業用太陽光発電で一般的な、30kWのシステムと仮定して試算してみましょう。
費目 | 費用 |
---|---|
パネル | 360万円 |
パワーコンディショナー | 150万円 |
架台 | 120万円 |
工事費 | 210万円 |
合計 | 840万円 |
これら以外にも、売電のための接続費用や諸経費が発生しますので、実際には更なる出費が予想できます。
※この割合は一般的なもので、パネルのメーカーによって異なる場合があるので、目安程度にとどめておいてください。
太陽光発電システムを導入した場合、電気を売る(売電)によって収入を得ます。
設置する土地などの状況によって変動するので、一般的な数値しかいえませんが、出力される1kWの電力に対して得られる年間の発電量は「1,000kW/h」だといわれています。
自治体などの平均的な買い取り価格が27円/kW(30kWの場合)だとすると「30kW×27円×1.08×1,000kW/h」という式になり、その場合、年間の売電収入は87万4,800円となります。
2016年4月から電力の自由化が法律で認められるようになりました。これまで売電先は自治体に統一されていましたが、通信会社をはじめ、さまざまな業界が参入を果たしています。そのため、売電価格にかんしてはよく見極めておく必要があるでしょう。
一般的な家電製品でも、そのまま放置したり、メンテナンスを怠ったりすると漏電や故障を引きこし、時には火災などの原因にもなってしまいます。
太陽光発電システムは、そういった家電製品とは異なった非常に大規模な装置。メンテナンスには細心の注意を払わなければなりません。
しかし、機器の内部についてくわしくない素人がおいそれと手を出していいはずもなく、メーカーごとで行ってくれるメンテナンスが非常に重要になります。
業者を探すときには、「それまでの実績や施行例」「営業年数」「施行保険の加入有無」といったポイントに注意しておくといいでしょう。
一番のメリットは「調達コストがないこと」。発電エネルギーの源になるのは、太陽から降り注ぐ光となるため、基本的にどこかからエネルギーを調達するコストがありません。
地価が安い田舎ほど「収益率がほとんど落ちない」ということもメリットの大きな一つでしょう。周囲にビルなどが多い都心では不向きですが、障害物のない田舎であれば効率的に電力を得られます。
当初は、国が太陽光発電にかんする補助金の支給を行ってきましたが、2016年度の自由化に伴って打ち切られました。
しかし、地方自治体のほうでは、未だ設置などにかんする「補助金の制度」が残っています。そのため、初期費用のコストを削減することも可能です。
宅地であれば問題はありませんが、それまで田畑を目的に使用していた土地では、地盤が軟らかすぎるということもあり、架台を安全に取り付けるための「地盤改良」が必要になってきます。
この工事を行っておかないと、地盤が不安定になり架台が傾いて、効率的に太陽からエネルギーをとれなくなってしまうため、きちんと地盤調査などを踏まえてリスクを取り除いておきましょう。
水害などによるリスク対策もきちんとしておきましょう。洪水や集中豪雨などにより太陽光システムが被害を受けないように、設置場所を高台にしたり、盛土をするなどの対策も有効です。
万が一、システムが水没してしまった場合には、決して近づかずにメーカーの指示を仰ぐようにしてください。
土地活用において王道とされている賃貸経営。それでは、これまで紹介してきた太陽光発電と比較するとどのような違いがあるのでしょうか? 今回は大まかに3つのポイントで比べてみたいと思います。
手軽、とは言い難いですが太陽光発電の方が参入へのハードルは低くなっています。さらに、自治体によっては設置補助を受けられる可能性があり、設置へのハードルが下げられています。
賃貸物件の部屋数にもよりますが、およそ2ヶ月で太陽光発電の年間収入を超えられます。また、年々、売電価格が下がってきており、試算通りの収入が得られるとは限りません。
収入が入るか不確実なのは賃貸経営も同じですが、自分自身や管理会社の努力次第では収入を伸ばせる賃貸経営と違い、太陽光発電は自然との戦いでもあります。
梅雨時であれば日照時間が減るので、ある程度の収入減が発生することでしょう。
かつて、太陽光発電設備を導入した際には、「グリーン投資減税」という制度が活用できました。しかし、現状では太陽光発電設備に活用できる制度はありません。
一方、賃貸経営であれば毎年の固定資産税に加えて、相続税の圧縮効果もあります。初期費用こそ掛かるものの、収入面・税金面でもメリットの多い賃貸経営を検討して見はいかがでしょうか。