アパート経営・マンション経営など賃貸経営にかかる諸経費(運用資金)についてまとめています。
賃貸経営では、家賃収入がそのまま純粋に収益になるわけではありません。運用していくための資金が少なからず必要です。
例えば、不動産登記費用や固定資産税、火災保険、各種管理費、修繕費用などが諸経費です。
物件を選ぶ際には、こうした諸経費がどれくらいかかるのかを確認しておくことも大切。しっかり押さえておきましょう。
では、主な諸経費について、物件の購入時と運用時に分けて紹介します。
物件オーナーが外部業者に委託せず、自主管理で行う場合はさておき、賃貸経営には管理費というものが必要になってきます。
主な項目としては、入居者の募集や入居の審査・交渉、入居時、退去時の立会い、ガス、水道、電気などの各種事務手続き、入居者や近隣住民からのクレームやトラブル対応、家賃の徴収や滞納時の対応、さらには建物管理、メンテナンスなどが挙げられます。
定年退職されているといった場合はともかくとして、会社員などの本業と並行して賃貸経営を行う場合、これらを行うことはほぼ不可能です。そこで、外部業者への委託が必要となります。サブリースの場合は、業者によって委託料の割合は異なりますが、賃料の10%~15%が平均となります。一般管理の場合は、委託業者との交渉によって、金額や家賃に対する割合などが決定されます。
そんな中でも、賃貸管理を無料で行ってくれるケースというのもあります。そんな特別な条件を実施しているところがあることを、ぜひ知っておいてください。
投資物件の購入には少なくない費用が掛かりますので、ローンを組まれる方も多いと思います。
金融機関では「アパートローン」など、投資物件向けのローンを提供しているところもあります。内容は一般的な住宅ローンとほぼ同じですが、投資物件のローン審査は少し厳しくなっています。
物件の担保力や収益性、借入する人の返済能力など、一般的な住宅ローンより入念な審査が行われるため、収入が不安定な方などは借入できないことも。
また、金融機関以外でも、投資物件向けのローンを扱っているところがあります。
例えば住宅金融支援機構の場合、一定の条件を満たせば銀行よりも緩い審査で借入できるローンがあり、高齢者や女性などの投資家にも人気のようです。
不動産経営における諸経費の処理方法のひとつに、減価償却費というものがあります。
これは、物件などを購入したときの支出を、何年かにわたって分割して経費に計上できるという仕組みです。
たとえば、マンションを3000万円で購入したとします。
この3000万円の経費は、本当はマンション購入の際に一括でかかったものですが、これを、帳簿上、たとえば5年にわたり分割でかかった経費、と処理することができます。
つまり、「今年1回だけの3000万円の経費」ではなくて、「今年を含めて600万円×5年間=3000万円の経費」とすることができるのです。
「減価償却費」という勘定科目を設定して、毎年600万円ずつ、5年に分けて費用を計上します。
費用が5年に分散されることで、それぞれの年度の利益から600万円ずつ経費を差し引くことができるので、一定の節税効果が期待できます。
また、通常、減価償却費は定額制(毎年600万円ずつ、など)ですが、申告することにより定率制にすることができます。
定率制にすると、同じ5年に分ける場合でも、最初のほうの年度の経費が多くなるため、経営の安定しない時期の節税対策として大変有効です。
マンションを経営する以上は、たとえ利益が出なくても、かならず税務署のお世話にならなければなりません。
その際、青色申告という方式を選択していれば、税金面で様々な優遇を受けることができます。
優遇のひとつに、青色申告特別控除というものがあります。
青色申告特別控除とは、青色申告を選択する(税務署で申告手続きをする)だけで、年度の利益から65万円の控除が受けられる、という制度。
実質、65万円の経費がかかったことと同じになるため、その分、家賃収入から差し引かれ、翌年の税金が安くなります。
青色申告をするためには、複式簿記という知識に基づいて、会計帳簿を作らなければなりません。
とても大変そうに感じますが、一度覚えてしまえば、決して難しいものではありません。
全国各地の税務署で、定期的に帳簿の作成方法に関するセミナーを行なっていますので(通常は無料)、今後のためにも参加しておくことをおすすめします。