賃貸経営ガイド トップページ » 見逃し厳禁!賃貸経営における空室対策の極意 » 借主が求める条件を知る

借主が求める条件を知る

空室対策のひとつの手法として、リフォーム/リノベーションがあります。しかし、リフォームやリノベーションには多額の投資が必要です。これをできるだけ抑えるための手法について紹介します。

空室対策でもっとも効果的な方法とは?

空室対策で肝心なことは、借主が何を求めて物件を探しているかという情報をキャッチすることです。

賃貸経営の要・空室対策のイロハとは

空室対策のために無闇にリフォームやリノベーションをしたり、家賃を下げてみても、それが集客に繋がるかどうかは不透明。

しかし入居希望者が何を求めているのかをオーナー自身が情報収集することで、その確率を高めることができます。

例えば病院の近くにある物件なら、バリアフリーのリフォームを施せば、今後増加するであろう高齢者層に強くアピールできるかもしれません。

もちろんこれは、「バリアフリーの物件を探している高齢者層」が一定数存在することが前提ですが、単に真新しくリフォームしてその他の築浅物件と競うよりも、成約に結び付く可能性は高いのではないでしょうか。

賃貸ニーズは多様化しています。競争相手の多い条件(築浅・デザイナーズ・駅近等)を強く打ち出すよりも、その物件ならではの強みにマッチした入居希望者を呼び込む努力をすべきです。

そのためにも、入居希望者の様々なニーズに目を配り、自身の物件にマッチする層を常に意識することが大切と言えます。

主な借主のニーズ

賃貸物件を借りる人がどんなことを求めているのか、SUUMOの条件検索項目を基に、探ってみましょう。

賃料

借主最大のニーズとしては、やはり月々の家賃が安い方が良いでしょう。ただし、あまりにも安すぎると人は逆に警戒します。近隣の相場を見ながら、「他よりもちょっとお得かな」と思える家賃設定ができれば、入居率の向上が狙えます。

また、毎月の家賃だけではなく、管理費や共益費、礼金、敷金の減額も、入居率向上に有効な手段。ですが、これらの費用を下げるということは、ご自分の収入を減らすということ。資産やローン返済などの状況を見ながら、柔軟な対応が必要です。

ペット可物件

現状、入居者を募集している物件のうち、どの程度の割合でペットもOKな物件があるのでしょうか。SUUMO掲載物件が最も多い世田谷区では、区全体の賃貸物件約72,000件に対し、13%の約9,400件が「ペット相談可」となっています。

もし、あなたの持っている物件がペット不可としているのであれば、「ペットと一緒に住みたい!」というニーズに応えてあげるのも空室対策になります。

しかし、区分マンションの場合は、マンションの管理規約などで、ペットの飼育が不可となっていることがほとんど。また、一棟物件であっても、現在の入居者さんたちに、説明する必要がありますので、管理会社とよく相談し、入居条件を緩和していってください。

これは、楽器やルームシェアなどへの対応にも共通です。

賃貸広告や入居者募集サイトに間取り図や室内画像を載せる

どちらかというと大家さんよりも、管理会社がするべきことかもしれませんが、SUUMOなどの物件情報を広めてくれるサイトに、多くの情報を載せることです。

間取り図や室内写真を見ずに借りる部屋を決める人は稀でしょうし、ましてやカップルや新婚夫婦であれば、新たに購入する家具の大きさを測る目安にもなりますので、少なくとも間取り図は載せてもらいましょう。

また、空室になっていて和室を洋室にリフォームする、バスルームを刷新するといった予定があれば、その情報も載せてもらいましょう。

入居者にとってプラスになる情報は、回り回って大家さんであるあなたに、利益をもたらしてくれますよ。

それでも空室が続くなら

入居者のニーズをできる限り叶える入居条件にしても、まったく入居者が現れない場合は、管理会社を変更してみても良いかもしれません。ただし、現状サブリース契約などを結んでいる場合は、引継ぎなどにきっちり応じてもらえるよう、準備をして、お互い納得の上で管理会社変更できるように進めましょう。

【番外】近年の傾向として…

近年の賃貸需要にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な物を並べてみました。

トイレの必需品・洗浄便座

いまや、TOTOの「ウォシュレット」をはじめとする温水洗浄便座は、生活必需品と言えるレベルにまで達しています。

もし、所有物件の各戸に温水洗浄便座がついていない場合は、取り付け工事を依頼しましょう。1台あたり2万円程度で工事までしてくれるケースがほとんど。

ですが、トイレ内にコンセントが無い場合や、3点ユニットバスの場合は、無理に設置すると割高になるため、別の方法で周辺物件との差別化が必要です。

他には、郵便ポストの刷新と宅配ボックスの設置。ネット通販が当たり前になっている時代ですから、雑誌やコスメアイテムを入れられる上、鍵をかけられるタイプにしておくと、既存の入居者や今後、内見する人に安心感を与えられます。

通販ユーザーの強い味方・宅配ボックス

再配達の手間を無くす宅配ボックスも、今となっては必需品。賃貸物件を探す際、宅配ボックスの有無が大きなウェイトを占めるようになってきました。

宅配ボックスといっても、大掛かりな物を設置するわけではなく、ダイヤル式の鍵が付いたタイプなら、購入して設置するだけで電気代などのランニングコストはかかりません。

これも、入居者に安心して暮らしてもらうためには必要な投資です。

女性の1人暮らしも安心・室内用物干し設備

女性が欲しがるものを置くことで、入居率が改善する可能性があります。昨今の流れとして、ファミリーやカップルで暮らす際、最終決定権が女性にあるケースが増えてきており、女性のニーズを汲み取ることが、賃貸経営を成功させるカギとなりつつあるのです。

当然、単身者向け物件であっても、女性に喜ばれる設備は必須。その中でも、室内干し用の設備は特に喜ばれるのだとか。梅雨時に限らず、1人暮らしの女性は洗濯物を外に干し辛いという話はよく聞きます。

その悩みを解決するのが、室内干し用のハンガーラック。天井からぶら下げておいて、使う時だけ降ろせるようにしておけば、邪魔になることはありませんし、毎日安心して洗濯物を干せます。

このような細かなニーズを拾い続けることで、空室率は改善できます。

「入居者が入らない!」と嘆く前に、大家さんとしてできることをしておきましょう。今動くことで、将来の収入が変わりますよ。

入居者に選ばれやすい住宅設備とは?

全国賃貸住宅新聞が毎年、賃貸物件の仲介や管理を行っている会社を対象にしたアンケートを基に、「入居者に人気の設備ランキング」を発表しています。

データは管理会社目線でまとめられており、『この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる』と『この設備が無ければ入居が決まらない』のそれぞれ、入居者を単身者とファミリー層とに分けて、4つのランキングが作られています。

それによると、特に単身者からの人気が高い設備は次の6点とのことです。

  • インターネット無料
  • エントランスのオートロック
  • 宅配ボックス
  • 浴室換気乾燥機
  • TVモニター付きインターホン
  • 独立洗面化粧台

このうち、宅配ボックスに関しては上記でのご説明通り。エントランスのオートロックや浴室換気乾燥機、独立洗面化粧台の導入は、設備の購入・設置含めて、少なくない費用が必要となります。

TVモニター付きインターホンは、現状応答可能なインターホンが設置されていれば大きな手間なく設置できるのだとか。そのため、防犯意識の高い方からのニーズに応えるために、導入する大家さんが増えているそうです。

また、この中でも最も安価で導入が容易な設備として、インターネット設備が挙げられます。

これは建物丸ごと、各種サービス会社と契約し、その分の費用を家賃に含めてしまうというもの。昨今は一人に1台スマホがある時代ですので、インターネット設備は必須とも言えます。

また、入居者の側からすると、面倒な契約手続きが一つ減るうえに、費用を払う窓口が家賃と同じでOKという点で、人気を集めているのだそうです。

家賃アップが見込める住宅設備とは?

上記で紹介した設備の中で、設置後に家賃上昇が叶った物があります。それは、防犯設備の類。やはり設置に費用がかかる分、入居者側にも「負担しなければ」という意識が働くのか、相場より3,000円程度高くても、入居に至る率が高いのだそうです。

防犯設備がしっかりとしていることで、入居希望者から選ばれやすくなるのは当然のこと。

SUUMOやat homeのような広告媒体で物件を検索する際、セキュリティ設備の有無で検索物件を絞れるわけですから、設備の有無がそのまま、入居希望者の興味の有無と比例するという訳です。

今ここで出費を認め、将来的な収入を得るか、現時点での出費を認めず、将来、空室に嘆くか。どちらを選ぶかは、大家さんであるあなた次第です。

管理スタイル徹底比較